2026年度春学期 ミクロ経済学入門 第8回・ミクロ経済学演習 第9回

部分均衡から一般均衡へ:
市場を一つずつ見るだけでは何を見落とすか

均衡の安定性、エッジワース・ボックス、パレート改善、契約曲線、生産フロンティアを、図と計算が対応する形で確認します。

東海大学政治経済学部経済学科 担当教員:孫明超

STEP 1

均衡はいつ安定するのか:普通の需要とギッフェン財を比べる

価格が均衡から外れたとき、超過需要なら価格上昇、超過供給なら価格下落が起こります。普通の需要では均衡へ戻りますが、ギッフェン財では逆に遠ざかる場合があります。

価格を均衡からずらす

需要曲線
供給曲線
需要量
供給量
価格の動き
STEP 2

均衡が存在しない市場を見分ける

需要曲線と供給曲線が交わらないとき、価格メカニズムだけでは通常の市場均衡を作れません。自由財や供給不能のケースを分類します。

ケースを切り替える

STEP 3.1

エッジワース・ボックスを1枚ずつ組み立てる

2人の無差別曲線を反転して重ねるところから、初期保有点、パレート改善、予算制約線とMRSの関係までを、矢印で1枚ずつ確認します。

横幅X財の総量
縦幅Y財の総量
効率条件MRS1 = MRS2
STEP 3.2

エッジワース・ボックス:配分点は2人の所有量を同時に表す

横幅はリンゴ10個、縦幅はミカン20個です。点を動かすと、消費者1の所有量と消費者2の所有量が同時に変わります。

配分点を動かす

青い点は予算制約線上のみ移動できます

消費者1
消費者2
MRS差
予算制約線
契約曲線MRS₁ = MRS₂
契約曲線は、2人の限界代替率が一致する点の集合です。そこでは一方の効用を上げるためには、もう一方の効用を下げなければなりません。
STEP 4

生産可能性フロンティアで限界変形率を読む

資源が一定なら、X財を増やすほどY財は減ります。その減り方をPPF上の小さな三角形と接線の傾きで読み、最後に価格比との一致を確認します。

PPFの傾きからMRTを読む

生産可能性フロンティアY = 100 - 0.04X²
限界変形率MRT = -dY/dX = 0.08X
MRT
価格比
判定
STEP 5

演習復習:貿易利益・関税収入・死荷重を式で確認する

演習第9回の冒頭で扱った D = 100 - P, S = P, p* = 10 の貿易計算を、関税額を動かしながら確認します。

関税額を動かす

需要曲線D = 100 - P
供給曲線S = P
輸入量
関税収入
死荷重
まとめ

一般均衡は、複数市場を同時に見るための考え方

部分均衡は一つの市場を鋭く見る方法です。一方で一般均衡は、消費者の限界代替率、生産者の限界変形率、そして市場の価格比が同時に整合するかを見ます。エッジワース・ボックスと生産フロンティアは、その整合性を図で考えるための道具です。