弾力性は「傾き」ではなく「何%反応したか」で考える
牛丼の値下げ、売上の変化、商品の性質、価格差別をつなげて、弾力性を計算の暗記ではなく意思決定の道具として扱います。
東海大学政治経済学部経済学科 担当教員:孫明超
需要の価格弾力性を、変化「量」ではなく変化「率」で計算する
講義の牛丼の例を動かして、同じ 120 円の値下げでも、元の価格と元の需要量が変わると弾力性が変わることを確認します。
価格と需要量を動かす
計算の過程
| 価格の変化率 | |
|---|---|
| 需要の変化率 | |
| 需要曲線の傾き ΔP/ΔX | |
| 元の売上 P×X | |
| 新しい売上 P'×X' |
需要曲線が右下がりなので、価格変化率と需要変化率の符号は逆になります。需要の価格弾力性では正の値で読みたいので、式の前にマイナスをつけます。
価格を下げたら売上は増える? 先に予想してから確かめる
弾力的な需要では値下げが売上増につながりやすく、非弾力的な需要では値下げが売上減につながりやすい。直感がぶれやすいところなので、予想してから表示します。
結果を表示すると、ここに弾力性の計算過程が出ます。
需要曲線を選び、価格変化を予想する
まず予想を選んでから、結果を表示してください。
| 値下げ前 | |
|---|---|
| 値下げ後 | |
| 弾力性 |
「売上 = 価格 × 需要量」なので、価格が下がる効果と需要量が増える効果のどちらが大きいかが勝負です。その大小関係を一つの数にまとめたものが需要の価格弾力性です。
弾力性を左右する要因を、商品ペアで判定する
演習講義の「期間の長さ」「必要度」「商品の限定度」「支出割合」を、暗記ではなく比較問題として解きます。
正解数:0 / 4
各カードで「どちらがより弾力的か」を選んでください。
所得弾力性・交差価格弾力性・供給の価格弾力性を分類する
式は似ていますが、符号と解釈が違います。下のケースを分類して、どの言葉を使うべきか確認します。
ケース A:所得が 10% 増えたら、需要が 18% 増えた
所得弾力性 η = 1.8
ケース B:所得が 10% 増えたら、需要が 3% 減った
所得弾力性 η = -0.3
ケース C:肉の価格が上がると、魚の需要が増えた
交差価格弾力性 ε > 0
ケース D:生産設備を増やせる長期では供給量が大きく反応した
供給の価格弾力性が大きい
分類スコア:0 / 4
価格差別の発想:弾力的な顧客には低く、非弾力的な顧客には高く
映画料金のように、学生と一般客で需要の価格弾力性が違うとき、同じ価格をつけるよりも分けて価格をつけた方が収入を増やせる場合があります。
2つの価格を設定する
学生需要
一般需要
合計売上
均一価格との比較
| 均一価格の最適値 | |
|---|---|
| 価格差別の目安 | |
| あなたの設定 |
価格差別の要点は「払える人から多く取る」ではなく、価格に敏感な層と敏感でない層で、価格を変えたときの需要反応が違うことを利用する点です。
弾力性は、変化への反応を読むための共通言語
需要の価格弾力性は売上の方向を読む道具です。所得弾力性は財の性質を、交差価格弾力性は財どうしの関係を、供給の価格弾力性は生産側の調整しやすさを示します。式の形は似ていますが、「何が変化し、何が反応したか」を先に言葉で確認すると混乱しにくくなります。