2026年度春学期 ミクロ経済学入門 「供給の理論」補足資料
数学が苦手でも大丈夫。スライダーを動かして、「傾き」が「費用」に変わる瞬間を体験しましょう。
東海大学政治経済学部経済学科 担当教員:孫明超
上図の総費用曲線に対して、2つの視覚的な「傾き」を考えます。
オレンジ色の接線に注目してください。この傾斜は「あと1単位追加で生産した時、いくらコストが増えるか」を表します。
青色の点線に注目してください。原点と結んだこの線の傾斜は「製品1個あたりの平均コスト」を表します。
上の図で読み取った「傾きの値」をグラフにプロットすると、私たちがよく見る費用曲線が現れます。
総費用は 固定費用 (FC) と 可変費用 (VC) に分解できます。VC曲線の「原点からの傾き」が 平均可変費用 (AVC) です。
家賃・設備投資など、生産量に関わらず発生するコスト。グラフでは TC と VC の縦の差(常に15)として現れます。
原材料・労働賃金など、生産量に比例して変化するコスト。VC = TC − FC。原点を通る曲線になります。
VC曲線の「原点からの傾き」= AVC。MC = AVC の地点でAVCは最小となります(操業停止点の基準)。
市場価格 P が与えられたとき、企業は P = MC となる生産量 q* を選びます。そのとき利益が出るか・損失でも操業するか・廃業するかは、P と AC・AVC の最小値の比較で決まります。
超過利潤または損益分岐
収入が全費用をカバー。利益 ≥ 0。企業は操業を続けます。
損益分岐点 = AC曲線の最小点(★)
損失あり・操業継続
変動費はカバーできるので、操業した方が廃業より損失が小さい(固定費の回収)。
操業停止点 = AVC曲線の最小点(▼)
操業停止
変動費すら回収できない。生産しても損失が拡大するため、q = 0 が最適。
損失 = FC = 15(操業停止時の損失)